可愛い子には、旅をさせよう

その日、私は横浜で電車を降りました。
打ち合わせのため、子どもたちとここでお別れです。

選択肢はいくつかありました。
友人に子どもたちを託し、一緒に時間を過ごさせることも。

でも私は、子どもたちに選ばせることにしました。
「ママのお友達と一緒に待ってる?それとも二人で先に帰る?」

息子は帰ることを選びました。娘は最初、待っていたいと言いましたが、お兄ちゃんの「帰る」という気持ちを受けて、二人で帰ることを決めました。

横浜から自宅最寄り駅まで、乗り換えもある1時間強の道のり。
もうすぐ6歳になる娘と、小学6年生の息子の二人旅です。


目次

二人だけの帰り道を選んだ理由

これには理由がありました。

息子には、もう一歩「自分でできる」という経験を積ませたかった。これからどんどん世界が広がっていく中で、自分の力で切り抜けたという記憶は、何よりの自信になる。

娘には、少し冒険をさせたかった。まだ小さいけれど、だからこそ今、その経験が大切だと思っていました。

我が家には、一つの習慣があります。
6歳で一人で飛行機に乗れるようになったら、沖縄の実家まで一人旅をさせる、というものです。飛行機は途中で止まらないし、航空会社が提供するサービスもしっかりある。そして、機内ではお姉さんがサポートしてくれる安心感もあります。

これは私自身の経験から来ています。
5歳のとき、東京から広島まで当時5時間の新幹線を一人で旅しました。心配した祖父は、岡山駅から乗り込み、わたしの様子を見守っていたそうです。

その経験が、今の私の「自分でできる」という感覚の土台になっていると、今も思っています。


泣いた娘に、私が伝えたこと

電車を降りる直前、娘がちょっと泣きました。

「困った時どうしたらいいの?」
「ママとはどうやって連絡を取れるの?」

その言葉に、私はこう伝えました。
「にぃにがスマホを持ってるから大丈夫だよ。このマリーちゃんのバッグの中には、ママが○○ちゃんのことを見つけられるものが入ってるから、マリーちゃんはしっかり持っててね」

AirTagの入ったマリーちゃんのバッグ。どこにいても、ママが見つけられる。
その言葉に、娘は少し安心した顔をしてくれました。

大丈夫かな、という気持ちがなかったわけではありません。親が不安を感じないはずがない。でも、その不安よりも大きな確信がありました。

大丈夫。私の子だから。この子たちならできる。


信じて送り出すことが、最大の愛情

子どもに何かにチャレンジさせるとき、親の不安と信頼は常に隣り合わせです。でも不安を前面に出してしまうと、それは子どもに伝わります。「あなたには無理かもしれない」というメッセージとして。

反対に、「あなたならできる」と心から信じて送り出すとき、子どもはその期待を受け取ります。根拠のない自信ではなく、親に信じてもらったという経験が、子どもの中に積み重なっていく。

私自身も、そうやって背中を押してもらってきたという確信があります。だから送り出すことができた。


「可愛い子には旅をさせよ」という言葉は、単に経験を積ませるということではないと思っています。

旅の中で、子どもは自分で考えます。困ったとき、誰かに助けを求めます。うまくいったとき、「自分でできた」という感覚を体に刻みます。その積み重ねが、どんな環境でも折れない心をつくっていく。

過保護は愛情ではない。信じて手放すことも、愛情の形の一つです。

子どもの可能性を信じることは、同時に自分自身を信じることでもあります。この子を育ててきた自分を、信じること。完璧な親でなくていい。ただ、「あなたならできる」と心から思える親でいたい。

息子と娘は、ハプニングはありながらも、無事に自宅に帰り着きました。その日の夜、娘が誇らしそうな顔で「できたよ」と言ったとき、私は心の中でガッツポーズをしました。

あなたのお子さんに、今日一つ、小さな旅をさせてみませんか。

そしてもう一つ。子どもだった頃の自分が、誰かに信じてもらって踏み出せたように、大人のあなた自身にも、今日一つ、小さなチャレンジをさせてあげませんか。

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